サイラス編の考察
2周目を遊びながら、初回で知ったを内容を踏まえた上で情報を整理したり、登場する人物の人物像を想像したりしています。
ネタバレ全開のため、閲覧の際はご注意下さい。
サイラス編の考察
情報:歴史
アストラスダムはフラットランドに住む平原民族によって興された
当時のフラットランドは戦乱の時代で、8部族が長きに渡り争っていた
しかし、200年ほど前、大陸中へ領土を広げようとしていたグランポートから侵略を受ける
皮肉にも外敵の出現が敵対していた部族をつなげ、アストラスダムの町ができた
オルステラ大陸では古い部類に入る
同じく長い歴史を持つ町ホルンブルグが8年前に滅んだ
ホルンブルグは、忘れ去られた古代宗教、その司祭であった王族を中心に栄えた
ホルンブルグに伝わった古代宗教とはどんなものか?
古代宗教についての記録は、ホルンブルグ滅亡の際に失われている
サイラスの推論では「古代宗教の司祭であった王家が何かを守護していた」
オルステラ大陸も「フロストランド・フラットランド・クリフランド・リバーランド・サンランド・ウッドランド・コーストランド・ハイランド」の8つに分かれている。部族数も8、主人公も8人、8という数字を強調する意味をつい訝しく思ってしまいます。神は13柱(12+1)と敢えて分けているのでしょうか。
古い町でも200年という浅い歴史は、200年前に歴史を引き継げないほどの壊滅状態に陥った危機があったことを物語っています。これがオフィーリア編のガルデラ大帝との戦いなのでしょう。それほど大きな出来事が人々に神話としてしか語り継がれていない違和感は否めません。
8年前に滅びたホルンブルグがフィニスの門を守っていたことを示唆していますが、「古代宗教」は200年よりももっと前から存在していたと匂わせています。それほど長い歴史にも関わらず、国が滅びたら記録が失われるということは、極わずかな一部の人々のみが信仰する秘匿されてきた宗教と考えられます。そもそも王を警護できるほど側近のオルベリクから古代宗教についての言及が皆無なのも不思議です。
グランポートが領土を広げようとしてフラットランドに侵略したという話は、アストラスダムよりもグランポートの方が古い町であることを示していますが、唐突に挟まれており、重要度が図りかねます。
8が均衡(方位)を、12が秩序(暦)を意味しており、たった200年で神話になったのではなく、世界は不定期に世界崩壊の危機と「魔の力を司る者」の封印を繰り返していると考えました。
「古代宗教」がもし繰り返し世界が滅ぶ可能性を示しているなら、ごく一部の人間にのみ秘匿される理由にもなりますし、封じるための場所を守ることを重要視するのも説明がつくかと…。
不安定要素が強まれば各職業から8人の天才が現れる。上級職の武芸家・魔術師・ルーンマスター・星詠人は周回の中で生まれた新しい役割で、武器・魔法を極めた職に対し、後者2つは繰り返す世界の記憶から生まれた職とも読み取れそうです。
登場人物
サイラス(30歳)

サイラスは、出来事を「個人」ではなく「全体」の中で捉える学者である。
目の前の現象をその場限りの問題として扱うのではなく、それがどのような仕組みの中で起き、世界にどんな影響を及ぼすのかを見て行動する。そのため彼にとって重要なのは、事実の背後にある全体像と、その正しい位置づけである。
その視点は一貫しており、判断の基準が揺らぐことはほとんどない。
もっぱら彼は「木(個人)」ではなく「森(全体)」を見ている。どの場面でも、まず枠組みを捉え、影響範囲を考え、情報として位置づける。この思考の順序が崩れないことが、彼の強みである。
辺獄の書に興味を持った理由も、その内容の危険性や魅力ではなく、「最古の書物」であるという点にあった。
善悪や感情よりも先に、「それは何なのか」を確かめようとする姿勢が、ここによく表れている。
フィールドコマンドの「探る」も同様である。
人の感情に寄り添って情報を引き出すのではなく、状況や背景から事実を明らかにしようとする。そのため、失敗すれば相手から強く拒絶されるなど、不躾なものとして受け取られてしまうこともある。
一方で、彼は人の感情に鈍く、自分がどう見られているかにも無自覚で、時には危機にも気づけない。
仕組みに焦点を当てるあまり、目の前の状況を取りこぼしてしまうという欠点がある。
サイラスは完璧な存在ではない。自分の欠点を理解していても、それを積極的に克服しようとはしない。欠けた部分を他者に補われながらも、あえて全体を見るという自分の軸を変えずに進み続ける。
彼は、世界の仕組みを読み解き、それを情報として整理することで前に進む人物であり、その積み重ねによって、未来に続く人々を救おうとしている。
メルセデス(21歳)
王立図書館の司書。仕事は真面目で、会話からは気さくで人当たりの良い印象を与える。「小さい頃にリバーランドから移住しているため、想い人がいるらしい」という些細な情報が「ゼフの恋人」につながる意外さ。
読書好きで司書という職業に就き、本に囲まれた充実した日々を送っていると思われる。だからこそ、ゼフとのことは幼い頃の良い想い出で終わらせようと思っていたのかもしれない。
メアリー(25歳)
サイラスの講義を受ける王女。授業には熱心で学ぶことの楽しさ感じているのが感じられる。後にそれが前の教師だったパウルからの教えであることが分かる。女王として必要な知識を学ぼうとする彼女の姿勢は誠実そのもの。
「平原の太陽」と呼ばれる美貌にも関わらず、自分の見た目に感心がない点はサイラスと似ている。女王となるべく教育を受けている彼女は政治的な意味で相手を選ぶものと思われ、恋愛は重要ではないのだろう。
テレーズとは仲が良いらしいが、恋愛の話で盛り上がることはなさそう。
テレーズ(17歳)
サイラスの講義を受ける王女。サイラスに惚れているため授業に身が入らない。メアリーとは遠縁で仲よしだが、サイラスと会話の多いメアリーに嫉妬してしまう。彼女は親友よりも恋愛を優先するタイプなのかもしれない。
「平原の月」の噂されるのは、同じ美女でもメアリーと比べると一歩引いたところがある印象なのだろう。それにしては、嘘の密告したり、後をつけたりと意外なほどの行動力がある。おそらくサイラスが初恋なのではないだろうか。サイラスへの想いが憧れで終わって欲しいと思うのは、彼女がカサンドラ症候群に陥るところを見たくないからかもしれない。
ラッセル(30歳)

ラッセルはかつて神童と呼ばれ、成果によって評価されることで自分の価値を確かめてきた。
おそらく、幼い頃から彼の周囲にあったのは「すごい!」「優れている」といった結果への賞賛であり、その過程や思考に焦点が当てられることは少なかったのだろう。
そのためラッセルの中では、「成果を出すこと=自分の価値である」という基準が強く形作られていった。
この基準は、順調なうちは問題にならない。けれど、成果が出せなくなったとき、彼は単に失敗したのではなく、自分自身への価値が揺らぎ、次第に追い詰められていく。成果を出せない自分には価値がない――と。
そしてサイラスが天才と話題になる頃には、周囲の評価基準は上がり続け、ラッセルが他人から評価をされるような成果を出すことはできなくなる。
その後、家を売り払って洞窟に移住してまで、研究を続けるほど視野が狭まっており、その苦しさから目を逸らすためにギャンブルへ傾倒する。
しかし彼は、完全に逃げ切ることもできない。学者としての思考と、最低限の倫理観が残っているため、自分の行為の意味を理解してしまう。この「逃げても納得できない」状態こそが、ラッセルの特徴である。
彼は弱さを持ちながらも、現実を歪めたり他者に責任を押し付けたりすることができない。そのため、逃避と理解の間で揺れ続けることになる。
転機となるのは、盗みが露見した後である。おそらく彼は、行為そのものを咎められると考えていた。
しかしサイラスに突きつけられたのは、「その行為がどれだけ多くの人の学びの機会を奪う可能性があったか」という指摘だった。このときラッセルは、自分の問題を「盗みという犯罪行為」ではなく、「盗んだ結果が及ぼす全体への影響」として認識せざるを得なくなる。
ラッセルは直接誰かを傷つけたわけではない。けれど、「自分の行為がどのような結果を生むのか」という因果関係を学者として理解できてしまうため、その影響の重さから目を逸らすことができなくなる。
ドミニクと出会った後、ラッセルは新しい生き方を手に入れた訳ではない。これまでと同じ「成果 → 評価 → 自己価値」が、「成果 → 贖罪 → 納得」に代わっただけである。
贖罪として本を書くという選択は、成果主義の延長線上で、彼にとって最も矛盾の少ない行動だったのだろう。
ラッセルは、強くなった訳でも、完全に立ち直ったのでもない。
一時的には「逃げる」こともできるが、「逃げ切る」ことができず、最終的には自分の行為と向き合わざるを得ない。
その中で、少しずつ自分の基準を他人から自己へと移行していく。
罪を自覚して成長したというよりは、「自分の中で納得できる形で責任を取る在り方」に変化させたともいえるだろう。
イヴォン(58歳)
知識は金になるし、独占してこそ意味があると考える学長。40代前半で前学長を暗殺して「辺獄の書」の読解を続けてきた。前学長を「研究にしが興味のない堅物」と評価しているが、おそらく前学長はリブラックの唆しに乗らなっかったので、標的にされたのだろう。「辺獄の書」が15年以上前からないということは、前学長も「辺獄の書」を研究をしていた可能性が高い。かなり真実に近づいていたため、消されたと思われる。その点ではイヴォンよりも優秀だったのではないだろうか。もしくは、一度はそそのかされて研究をしたものの、解読を進めるうちにリブラックの真意に気づいて距離を置こうとして殺されたとも考えられる。
イヴォンが学長になった頃サイラスはまだ15歳。学長になって数年後、頭角を現した天才のサイラスを疎ましく思っていたはず。考え方の異なることが最も気に入らず、おそらく今回だけではなく度々嫌がらせをしている。嫌がらせの材料の一つとして、テレーズからの密告を嬉々として聞いていた可能性が高いが、結局どれもサイラスには効果がないため、「どこまでも読めない男」という評価になっている。
ルシア(不明)
イヴォン学長の秘書として登場し、この時点では名前は明かされない。イヴォン学長のことは秀才、自分とサイラスは天才だと認識している。元々はイヴォンの教え子であり、イヴォンよりも先にリブラックと接触している。学長を亡き者にするために、唆しやすいとしてイヴォンを選んだと思われる。そのため、教師であるにも関わらず常に下に見ていたはず。それに最後まで気づけなかったイヴォンも残念である。
サイラスの「興味をひかれる謎、とある本、旅に出る」という僅かなキーワードから「辺獄の書」を追うと推察して後をつける辺り、イヴォンよりは賢い。
彼女が数百年生きられるようになり、仮に世界中の本を読んだとして、世界は何も変わらないのではないだろうか。単純に人ひとりの好奇心を満たし続けて終わる、という何も残らない結果に彼女が満足できたのだろうか。